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番外編 モテ男の受難
鷲崎さんから太惺宛の荷物が届いたのはそれから1時間後。
「フーさん、かなり重いですよ。一人じゃあ無理ですって」
若い衆が二人がかりで運んでいた大きな箱を軽々と片手で持ち上げると、居間へと運んでくれた。
さっきのこともあるから用心に越したことはないからと、フーさんが子どもたちをなるべく遠ざけ一人で箱を開封した。
「たいくん、まだだよ」
「ここちゃん、まった」
見たこともないような大きな箱に太惺も心望も興味津々。危ないよと制止する一太と遥香の腕をするりと抜けると、段ボールめがけてハイハイで向かっていった。
「パパ、たいくんとここちゃん、とめて」
「ままたん!」
「おぅ、分かった」
彼が太惺を、橘さんが心望を抱き上げてくれた。はなちて!と言わんばかりに手足をバタつかせる二人をよしよしと宥めながら、そぉーーと箱に近付いた。
「これはあれだな」
「ですね」
顔を見合わせるなりぷぷっ、と笑い出した。
「パパばっかずるい。ハルちゃんもみたい」
「いちたも!」
「かなたも!」
子どもたちが頬っぺをこれでもかと膨らませた。
「三人ともおいで。あと、ウーも亜優もだ」
彼に手招きされ、俺?と首を傾げるウーさんと亜優さん。
「ウーさんいこう」
「あゆさんも」
一太がウーさん、遥香と奏音くんが亜優さんの手をむんずと掴むとそのまま引っ張っていった。
「……」
彼から真っ白な枕を渡され、しばらくの間ウーさん固まっていた。表に是、裏に不是と書かれてあった。
「中国語で是《シー》はYES、不是《ブーシー》はNO」
「つまりはそういうこと。鷲崎らしいプレゼントだね」
紗智さんと那和さんもぷぷっ、と笑っていた。
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