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番外編 モテ男の受難

亜優さんには中国語で書かれた日本と日本語を学ぶための本が5冊。ちゃんと勉強するようにノートまで入っていた。 「弓削、一太にパンを送ってもらったのが相当嬉しかったみたいだ。一日でも早く良くなって一太を自分の手で抱き締め、高い高いをするんだって。以前に増してリハビリに力を入れるようになったらしい」 同封されてあった鷲崎さんからの手紙に目を通していた彼がそう教えてくれた。 子どもたちにはたくさんの服。 奏音くんの分もちゃんと入っていた。 太惺と心望にはこれから遊べる音の出るおもちゃや、絵本などいろいろ入っていた。 「ここまで来たら完全な親バカだな」 「ですね。家庭を一切顧みなかった鷲崎さんをここまで変えてくれた一太くんとハルちゃんに感謝ですね」 「あぁ。あと内助の功。七海にもな」 「そうでした」 段ボールから荷物を全部取り出し、底に貼っていたガムテープを剥がすと、大きなトンネルが出来た。 倒れないように両隣で紗智さんと那和さんが段ボールを支えると、さっそく子どもたちがハイハイでトンネルを潜りはじめた。 きゃきゃと黄色い声を上げ、はしゃぐ子どもたちを眺めながら、橘さんに手伝い服とおもちゃを片付けていると、橘さんの手がふと止まった。 「橘さん?」 「手紙がもう1枚あります。根岸の孫がいないところで開封してくれと書いてあります」 ちらっと橘さんが彼に視線を送るとすぐに気付いてくれた。 まさに以心伝心だ。 昔はふたりの仲の良さにヤキモキしたけど、今はだいぶ落ち着いた。

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