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番外編モテ男の受難

『倅を見付けたって連絡を受けて現場に急行したんだが、そこで梶山組の連中と鉢合わせになったんだ。根岸は、俺には息子はいない。赤の他人だ。煮るなり焼くなり好きにしろ。そう連中に啖呵を切った。でも根岸は車の中で泣いていた。なじょしたら、仲直り出来んだべって。見てて辛かった』 「そうか」 根岸さんに電話を掛けようとしたら伊澤さんから電話が入った。 『上田は死に物狂いで金を回収しようと躍起になっている。手紙に写真が入っていただろう?髪型はだいぶ変わっているが根岸の倅に間違いない』 「伊澤、すまんな」 『なんで謝る。根岸と所帯を持てたのも未知さんら子どもたちのお陰だ。老いぼれだが、恩を仇で返す訳にはいかない。あ、そうだ、亜優は?元気にしているか?悪戯ばかりして橘に怒られていないか?」 「ふたりの大事な一粒種だ。みんなに可愛がってもらってる」 『そうか、それなら良かった』 亜優さんが元気にしていると聞き、ほっと胸を撫で下ろす伊澤さん。 『余計なお世話だと思うが、未知さんの前で橘とあんまりイチャイチャすんなよ。未知さんがいくら焼きもちを妬かないとはいえ、面白くないはずだ』 「いつ俺が橘と……」 『はたから見たらそう思うんだよ。切るぞ』 「おぃ、待て!」 ぶちっ、と一方的に電話を切ってしまった。

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