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番外編 モテ男の受難
彼と目が合うなりゴホン、わざとらしく咳払いをされてしまった。
「あのね遥琉さん、僕ね」
「ごめんな未知。配慮が足りなかったな」
彼と橘さんは唯一無二の存在だもの。
橘さんがいてくれたからこそ、彼と出会う事が出来たんだもの。一太と彼が親子になれたんだもの。感謝しても仕切れない。
「ううん」
彼に余計な心配を掛けまいと笑顔で返した。
「そうやってまた無理する。焼きもちを妬きたかったら妬けばいいだよ。俺みたくさぁ」
クスッと自嘲すると、おでこにちゅっと軽くキスをしてくれた。
「そんだけ未知が俺を愛してくれる。男冥利に尽きるよ。ありがとう」
片方の手が肩に回って来て静かに抱き寄せられた。
広い胸に顔を寄せると、ちゅ、と音を立ててうなじに吸い付かれた。小さく震えると腰に回って来た腕が強くなった。
「首筋、無防備過ぎないか?ただでさえ不埒な輩が多いんだ。気を付けてもらわないと困る」
「はる、さん……」
あ、と小さく喘いで名前を呼ぶと、その唇がそっと塞がれた。
軽く吸ってくる動きに自然に唇が開いて、出来た隙間に肉厚な彼の舌が滑り込んでくる。
こくんと小さく喉が鳴り、恥ずかしいと思っている間に口の中に濡れた何かが侵入してきた。
「んん……っ」
久し振りの濃厚なキスは甘いフルーツの味がした。
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