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番外編 奏音くん、伝説のヤクザに初対面
「ハルちゃん、じーちゃんがきたみたいだよ」
「ほんと?」
「おにいちゃんとむかえにいこう」
「うん‼」
お祖父ちゃんが到着したと聞くなり、一太と遥香が裸足のまま外に飛び出した。
「ふたりとも靴」
太惺をおんぶし、子どもたちと掃除に勤しんでいた柚原さんがはたきを握り締めたまま慌てて追い掛けた。
一人残された奏音くんがちりとりを手にきょとんとしていた。
「一太とハルちゃんのおっきいじいちゃんが来たんだよ」
「名前は茨木さん。渋くてダンディーで、めちゃくちゃ強くて、めっちゃカッコいいんだよ」
「じぃじよりも?」
「う~ん、どうかな?根岸さんも度会さんも惣一郎さんも、みんな茨木さんのことを尊敬している」
「へぇーそうなんだ」
僕はお呼びじゃないね。奏音くんが寂しそうに項垂れ、ちりとりを持ったまま部屋に戻ろうとした。
「きみが根岸奏音くんか?じぃじにそっくりだな」
孫が世話になるからと、根岸さんの方からお祖父ちゃんに電話があったみたい。
奏音くんが紗智さんの背中に隠れようとしたら、
「かなたくん、かくれんぼうしなくてもいいよ」
「ハルちゃんのじーじだよ」
一太と遥香がニコニコ笑いながら話し掛けた。
「じ、じ」
太惺も手足を元気いっぱい動かして、まるで奏音くんに教えてあげているみたいだった。
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