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番外編 伝説のヤクザ、奏音くんと初対面

「奏音くんもおやつにしましょうか?このアップルパイは一太くんの大きいじぃじがわざわざ作って持ってきてくれたんですよ」 奏音くんは賑やかな声が漏れ聞こえてくる客間を台所から眺めていた。 「じゃあ、なんで名まえがふたつあるの?なんで一たくんとはなれてたの?なんで……」 「奏音、ままたんを困らせたらダメだろう」 「だって、父さんが」 そこで一旦言葉を止めると、手を固く握り締め、唇をぎゅっと噛み締めた。 「父さんがなんて?」 奏音くんを怖がらせないように柚原さんがその場にしゃがみこみ、ニッコリと微笑みながら顔を覗き込んだ。 「人ごろしだって。ぜんにんずらする、わるい人だって。かなたが大きくなったら、父さんのかわりにやっつけるんだぞ。父さんに言われたんだ」 「は?」 柚原さんの目の色ががらりと変わった。 「茨木さんはーー」 「呼んだか?」 タイミングを見計ったかのようにお祖父ちゃんが姿を現した。 「柚原、俺から説明する。その方が手っ取り早い。奏音、ほら椅子に座れ。アップルパイ食べながらでいいぞ。毒は入ってない。そんなに警戒するな」 目の前にあった椅子を手前に引いてくれて。そこに座るよう促した。

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