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番外編 番外編 伝説のヤクザ、奏音くんと初対面
「稀代のモテ男も橘の前では赤子も同然だな」
お祖父ちゃんがフォークを手に完全に固まってしまった奏音くんの頭を撫でた。
「甘いマスクで世のおばさま方を虜にし、亜優、芫、シワン、チーチフら揃いも揃ってイケメンを侍らせて、羨ましい限りだ」
「は、播本さん。俺は未知一途だ。茶化さないでください」
「茶化してないぞ。いたって真面目だ」
お祖父ちゃんが隣に座るように促した。
「出入り禁止にされたくなかったら、シワンとチーチフを今すぐここに連れてきて挨拶させろ。それが筋ってもんだろう。違うか?」
「播本さんの言う通りです」
「橘、今回は儂の顔に免じてこのくらいで許してやれ」
お祖父ちゃんが丸いお皿にアップルパイを一切れ乗せ、地竜さんの前に置いた。
「まずは腹ごしらえだ。橘、柚原お前たちも座れ」
橘さんは渋々ながらも椅子に腰をおろした。
柚原さんはその隣に。
アップルパイを食べてすっかりお腹いっぱいになった奏音くん。手を合わせごちそうさまと言うと、一太と遥香を探しに向かった。
「地竜、悠長にしていて大丈夫なのか?そんな暇ないんじゃないのか。梶山組と黒竜が手を組んで東南アジアのある国で人身売買をし、荒稼ぎしているって聞いたぞ。その金で死神を潰すためありとあらゆる手段をこうじているってな」
「さすが播本さん。相変わらず地獄耳だ」
地竜さんは微苦笑するとアップルパイを口に運んだ。
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