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番外編 命の重み

カタン、静かにドアが開いて橘さんと柚原さんが足音を忍ばせそぉーと入ってきた。 橘さんが心望を、柚原さんが太惺を、それぞれおんぶしていた。 ふたりとも親指をしゃぶり、しゃくりあげながらもすやすやと眠っているようだった。 「面会時間が8時までなので急いでお弁当を作り、紗智さんと那和さんにお風呂に入れてもらっている隙に病院に戻ろうとしたんですが、見事に見つかってしまいました」 「まま、たー、ぱぱ、たーって、泣き叫びながら後追いされて。オヤジがおいでって言ったんだが、二人してそっぽを向いたんだ。一太くんやハルちゃんでも駄目。そうなったら連れてくるしかないだろう。大丈夫だ、播本さんと鞠家とヤスも一緒だから」 地竜さんに身体を支えてもらいベットから立ち上がり、太惺と心望を起こさないように寝顔をそぉーと覗き込んだ。 「いっぱい泣いたから疲れちゃったんだね」 濡れている前髪を指先で左右に分けたら、びくっと小さな体が大きく震えた。 「起こしても大丈夫ですよ。寝かし付けは任せてください」 頼もしい橘さんの言葉が何よりも有りがたい。 南先生も橘さんと柚原さんをベタ褒めていた。 「ま、30分くらいなら、大目に見ようかな。帰るときにナースステーションに声を掛けてくださいね」 南先生もふたりの寝顔を目を細めて眺めてから、静かに病室をあとにした。

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