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番外編 命の重み

「どうした?」 なかなか眠ることが出来なくて、もぞもぞと動いていたら地竜さんに声を掛けられた。 「子どもたちの笑顔とはしゃぐ声で家のなかがいつも賑やかでしょう。だから、あまりにも静か過ぎてなんか落ち着かないの」 「そうか。でも、少しは眠った方がいいぞ。明日になったら、ゆっくりなんかしていられないぞ」 「うん」 一太と遥香がママが一人でも寂しくないようにと、橘さんにくまのぬいぐるみを託してくれた。 僕が入院したって、誰から聞いたのか分からないけど、千里さんや心さんや鷲崎さんたちからの着信履歴が何十件と残されてあった。 ばたばたしていてスマホの充電器を忘れてきたことについさっき気付いた。 実をいうと理由はもうひとつある。いつもなら地竜さんが側にいても意識しないのに。 二人きりだからかな、そわそわして落ち着かない。 意識しないようにすれば意識してしまう自分がいた。 「顔が真っ赤だぞ。今さら恥ずかしがってどうするんだ?」 「だって…」 言葉を詰まらせると、困ったように苦笑いされてしまった。

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