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番外編 命の重み

「永原先生に処置はしてもらったのですが、マー以外の人には触れてもらいたくないと駄々を捏ねてまして。すみませんが包帯を巻いてもらってもいいですか?」 「あ、は、はい」 橘さんから包帯を渡された。 「いい年してマーに甘えるな、恥ずかしいと思わないのかって聞いたら、恥ずかしくない。何歳になってもマーに甘えたいって即答された。そういうのマザコンっていうんだって言ったら、日本語分かりませんと惚けやがった。ウーには参ったな」 地竜さんが苦笑いし、ため息をついた。 (隣に座ってもいい?) って聞いているのかな。 「うん、いいよ」 頷くと嬉しそうな笑顔を見せ、隣に腰を下ろしてきた。そしてなぜか両方の手を差し出した。 「左手首は怪我をしていないよ」 ウーさんが首を横に振った。 「子どもたちと怖いバーバが居ないんです。未知さんに構ってもらいたいのでしょう。両手首に包帯を巻いてあげたらどうですか?」 橘さんに言われ、 「もうしょうがないんだから。今日だけ特別だよ」 ウーさんに声を掛けると、喜びに顔がきらきらと輝き出した。 「ウーを見ていると、一太を見ているようだ」 「そうですね」 地竜さんと橘さんが顔を見合わせるなりクスッと笑った。

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