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番外編 命の重み
『未知さんの体調はなじょったい?』
「破水から半日ほどでハルちゃんたちが産まれているので、今回もそうかなと思っていたんですが……」
電話の相手は若先生。
ウーさんとデートの約束していたみたいで、るんるん気分で会いに行ったら、ウーさんじゃなく、惣一郎さんたちがいたから腰を抜かすくらいびっくりしたみたいだった。
「未知さんの体調を心配する前にウーさんの心配をしてあげないと臍を曲げられますよ」
『おらの嫁っこ、すぐきめっこすっからな。でも、それがまためんこいんだ』
若先生が惚気話しをはじめた。
「まったく分からん」
話しに付いていけない地竜さん。スマホで福島弁を調べはじめた。
「ウーさん、若先生とデートをしてきてください。地竜さん、未知さんの手をどさくさに紛れて握らないんです」
「なんだバレていたのか」
悪びれる様子もなくしれっとして答えた地竜さんを橘さんが睨み付けた。
「未知さんの半径20センチ以内立ち入り禁止、お触り厳禁にしますよ」
「それだけは勘弁してくれ。通訳すればいいんだろう」
地竜さんがウーさんに若先生が迎えに来るから出掛けてくるようにと声を掛けた。
「だから、まだ産まれないから、今のうちにって……たく、相変わらず頑固だな。誰に似たんだって、俺しかいないか」
頑なに首を縦に振ろうとしないウーさんに、地竜さんかなり手こずっていた。
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