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番外編 命の重み
足のむくみで両足がパンパンになり、まるで大根のような足になってしまった。
「まだ痛みますか?」
橘さんに頼み、手のひらをふくらはぎに当て、足のくるぶしから太もも方向へゆっくりと擦ってもらっていた。
さっきまで嬉しそうにぺたぺたと足を触りまくっていた地竜さん。触り方がイヤらしいんです。余計なところを擦ってどうするんですかと、橘さんに注意され、聞こえないフリをしていたら首根っこをむんずと掴まれ強制的に廊下に出されてしまった。
子宮口もまだ開いてないし、陣痛も来ない。まったく音沙汰なしで、一旦帰宅することになった。
トントン。遠慮がちにノックが2回。そのあとドアが静かに開いて、顔を上げると思いもよらない人が立っていたから驚いた。
「……ねぎ……し……さん、なんで?ここに?」
「姐さんが破水したって聞いて、オヤジがあの通り動けないんだ。父親代わりの俺が側にいて姐さんを守ってやらんと、そう思ったんだ」
「ありがとう根岸さん。それがまだ、産まれなくて……駆け付けてもらったのにごめんなさい」
「謝る必要はない。倅がなかなか見付からないから、一回福島に戻ろうとは思っていたんだ。だからちょうど良かった。気にすんな」
根岸さんに肩をぽんぽんと軽く叩かれた。
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