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番外編 命の重み
「橘、そだ、おっかね顔すんな。見付からねぇんだ。しょうがねぇべ」
「これだけ探しても見付からないということは、梶山組に捕まって消されたか、誰かが匿っているとしか考えられません」
「前にも言ったが、俺の子どもは姐さんと亜優だけだ」
根岸さんがベットの端にゆっくりと腰を下ろした。
「橘、疲れただろう。代わるぞ」
「疲れていませんよ」
「地竜みたく悪戯すると思ったか?」
「いいえ。私が心配しているのは、伊澤さんです」
「姐さんと亜優には焼きもちを妬かない。どう擦ったら痛みが和らぐんだ?教えてくれ」
「分かりました」
結局根岸さんに押しきられ、橘さんがこうするんですよと教えると、ぎこちない手付きながらも優しく擦ってくれた。
「オヤジに内緒な」
「分かってますよ」
橘さんが会計をするために一旦病室をあとにした。
「また発砲事件があったみたいだな」
「地竜さんとウーさんが……」
「あぁ、聞いた。姐さんにだけは嘘を付きたくないから正直に言うが、頭部を撃たれた身元不明の遺体が昨日の夜、市内を流れる川から見付かったらしい。倅に特徴がよく似てるとオヤジから連絡が来て、それで急いで戻った」
驚いて顔を上げると、
「出来れば姐さんにはこのまま入院してもらいたかった。その方が安全だ。姐さんにもし万が一のことがあったら、奏音に会わせる顔がない」
心配そうに眉を寄せた。
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