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番外編 命の重み
「マー、バーバ!」
「たいくん、ここちゃん待った!」
紗智さんと那和さんの慌てた声が聞こえてきた。
「ママ、たいへん!」
「パパ、きて!」
一太と遥香が興奮して駆け込んできた。
「どうしたんだそんなに慌てて」
「あるいたよ」
「そりゃあ誰だって歩くだろう……ん?もしかして太惺と心望が歩いたのか?」
「うん」
「ごかい、あんよ」
「ごかい…ということは…おぃ、みんなして俺を置いていくな」
彼が動く前にお祖父ちゃんと根岸さん、それに鞠家さんと柚原さんがすっ飛んでいった。腰に手をあてながらふらふらと歩きはじめた彼を支えようと手を伸ばそうとしたら、
「転ぶから止せ」
伊澤さんに止められた。
「オヤジ」
彼の腰に手を添えて身体を支えてくれた。
「すまない」
「いいってことよ。今は孫にしか眼中にないからな。しょうがない。根岸とふたりきりの時間を過ごさせたもらったんだ。感謝する」
「ゆっくり出来たか」
「あぁ」
伊澤さんの表情は幸せに満ち溢れていた。
手でバランスを取りながら、大好きなままたんに向かって一歩、また一歩とふらふらしながらもあんよしたんだよ。
五歩あんよして、にこにこと笑いながら橘さんの腕の中に倒れ込んだんだよ。すごく可愛かった。こうときに限ってカメラマン誰もいないし。
紗智さんと那和さんの説明に耳を傾ける彼。あと5分留まっていれば見れたのに、がっくりと肩を落としていた。
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