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番外編 命の重み

「地竜は?」 ふたりの男の首根っこをむんずと掴み姿を現したのは…… 「珍しいなお前が怒るの」 「飼い犬の躾がなってない。家の回りをうろうろ嗅ぎ回って。ナオや子どもたちがどれだけ怖い思いをしたか」 信孝さんが男たちを彼の前につきだした。 「目付きの鋭いのがチーチウ、シワンには会ったことあるもんね。大人しく留守番してろって飼い主に言われたんだけど、ふたりとも全然話しを聞いてくれない」 「自分勝手」 「そう、それ」 彼に見付からないようにお腹を擦りながら、那和さんと紗智さんと客間の様子を遠巻きにそぉっーと眺めていたら、彼にすぐにバレてしまった。 「寝たくても寝れないものはしょうがない」 「だから気にしないの」 「そういえば地竜は?」 「言われてみればいつの間にかいなくなってる。さっきまでいなかったっけ?」 紗智さんと那和さんがあちこちキョロキョロと見回した。 「そう言えばマーに構い過ぎるって、橘さんにみっちり怒られていた」 「隠れた?」 「かも知れない」 ふたりがそんな会話をしていたら、がたがたと戸が音を立てて揺れはじめた。 「爆弾低気圧で天気が荒れる予報が出てます。皆さん、いい子なんですから、夜更かししないで寝ましょうか」 橘さんがにこにこと笑みを浮かべながら姿を見せた。でも目は笑ってはいなかった。かなり怒ってるようだった。腕を捲って、チーチフさんとシワンさんをジロリと睨み付けた。

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