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番外編 命の重み

すーっと戸が開いたような気がして顔を上げた。 「どうした?」 「誰か入ってきたような気がしたんだ。気のせいだったみたい」 障子を透かして月の光が射し込んでいる部屋をぐるりと見回したけど誰もいなかった。 でも、次の瞬間、逞しい腕が背中の方から前へと伸びてきたものだから、びっくり仰天して悲鳴を上げ、彼の服にしがみついた。 「お前の寝る場所はここじゃないだろう?」 「男ばかりのむさ苦しい部屋で寝れるわけないだろう。シワンもチーチウも寝相が悪いんだ。人の顔を足枕代わりにするし、シワンなんか寝惚けて俺の服を脱がそうとするし、おちおち安心して寝れないんだよ。1時間経過したら出ていくから、少しだけ……」 そこまで言うと、すやすやと穏やかな寝息を立てて本当に眠ってしまった。 「未知、絶対に後ろを振り返るなよ」 「え?なんで?」 「胎教に悪い」 「ん?」 いまいち意味が分からなくて首を傾げると、 「恐らく地竜は素っ裸だ。酔っ払ったシワンに寝込みを襲われ服を脱がされ、慌てて逃げ出したんだろう」 彼の言葉にどきっと胸が小さく跳ねた。 そしてさっきから腰に何か硬いものが当たっていることにようやく気付いた。 「もう地竜さんたら……服くらい何か着てきてよ」 顔を真っ赤にしどうしていいか分からず俯いた。

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