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番外編 命の重み

「なんで遥琉さんまで裸なの」 動揺し過ぎて声が上擦った。 「下はちゃんと穿いてる。ほら」 「もう見せなくていいから」 恥ずかしくて目のやり場に困り、両手で顔を覆った。 「なかなかいい身体しているんじゃねか」 「そういうお前だって」 「胸板厚いな」 「お前には負ける。鍛えているんだろう?」 「いや、別になにもしていないよ」 「嘘つけ」 僕を間にはさみ、お互いの身体をぺたぺたと触りっこするふたり。 顔を上げたくても上げることが出来なくて、ずっと下を向いていた。 「なにを朝っぱらからイチャついているんですか!」 がらっと戸が開いて橘さんの怒鳴り声が響き渡ったのはそれから数分後の事だった。 「まずは服を着てください」 橘さんが着替え一式を地竜さんに渡した。 「そういえば柚原もなかなかいい身体をしていたな」 「毎日一人で5人の子どもをお風呂に入れて、寝かし付けて。起きているときは一緒に遊んで、たいくんやここちゃんをおんぶして抱っこしているんですよ。そりゃあ、筋肉も付きますよ。お陰でお腹回りが前よりも締まったと喜んでました」 「そういえば綺麗に縦に割れていたな」 「あなたも遥琉も綺麗ですよ。目のやり場に困るくらい。未知さんの気持ちがよ~く分かります」 「そうか」 今度はお互いのお腹の辺りをペタペタと触りはじめた。 なんでそうなるの。 恥ずかしくてますます顔を上げられずにいたら、橘さんがクスクスと愉しげに笑いながら肩にカーディガンを羽織らせてくれた。

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