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番外編 命の重み
「ここちゃん、ばぁばっておいで」
紫さんが心望を抱っこすると、下唇をこれでもかと伸ばし火が付いたように泣き出した。
「あらら、困ったわね」
心望につられるように太惺まで泣きはじめてしまった。
するとお祖父ちゃんが手をごしごしとズボンで拭いてから、縁側へ駆け寄ってくれた。
「おっきいじぃじと散歩でもしてくるか。柚原、行くぞ。橘、その隙に行け」
紫さんから心望を受け取ると、柚原さんとふたりを抱っこして庭を散歩しはじめた。
「紫さん、和江さん、未知さんを宜しくお願いします」
「任せておいて」
「橘さんもくれぐれも気をつけて」
二人に見送られ、橘さんが慌ただしく出掛けていった。
蜂谷さんと鞠家さんが一緒だから安心だ。
どこまでも続く青空の下、キャキャと子どもたちの歓声が上がっていた。
「肩から腕にかけて痣があったらしい。歯の治療跡と身体的特徴から倅にほぼ間違いない。根岸から連絡が入った。奏音にどう伝えればいいか……」
彼が隣に静かに腰を下ろしてきた。
まだ何も知らない奏音くん。キラキラと輝く笑顔を見るのがいたたまれなかった。
「ねぇ遥琉さん、悠仁さんを誰が引き取るの?根岸さん?それとも内縁の奥さん?交際相手?」
「遺書があれば故人の意志が尊重されるが、なければ根岸が引き取ることになるだろう」
「ふたりを仲直りさせてあげたかった。悠仁さんに伊澤さんを紹介して、結婚式に来て欲しかった」
悔し涙が頬を濡らした。
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