1466 / 3282
番外編 命の重み
隣に腰を下ろすと奏音くんと一緒に空を見上げた。
「ままたん、かなた」
そこで言葉を止めるとじぃーと橘さんの顔を見つめた。
「いっそのこと、ままたんとぱぱたんの子どもになりますか?」
「え?」
驚いて目をパチパチさせる奏音くん。
「じぃじと伊澤と暮らすか、ままたんとぱぱたんと暮らすか、奏音、お前が決めろ」
「すぐに答えなくていいぞ」
根岸さんと伊澤さんが声を掛けた。
「かなた、じぃじもいざわさんも好き。だけど、ままたんとぱぱたんはもっと好き」
「だよな。橘と柚原は、奏音を一番可愛がってくれているもんな」
根岸さんは少し寂しそうだった。
「痛っ‼」
「あ、そう」
根岸さんの手の甲をつねると、伊澤さんがぷいっとそっぽを向いてしまった。
「何で怒ってるんだ」
訳が分からず混乱する根岸さんを見た奏音くんがぷぷっと笑いだした。
さっきまで流していた涙はすっかり渇き、元気で明るい奏音くんがそこにいた。
「そうか、それなら奏音も幸せになれるな。良かったって言うのは不謹慎だが」
橘さんに余計な口出し禁止です、前もって言われ仕方なく遠巻きに見守っていた彼。
ほっと胸を撫で下ろしした。
ともだちにシェアしよう!