1469 / 3282
番外編 みんなが待ち望んだ新しい命の誕生
最強の弾よけ?
誰のことだろう。
思い当たるひとがすぐに浮かばなくて首を傾げた。
「ご飯食べたら?」
「うん、心さんたちは?」
「新幹線の中で食べてきたから大丈夫。ありがとう未知」
心さんの側にいるはずの優真くんがいなくて、きょろきょろと辺りを見回した。
「僕も行きたいってギャン泣きされたんだけど、状況が状況だけに連れてくる訳にもいかないでしょう。だから、裕貴さんに頼んできた」
「そうなんだ。あのね心さん、最強の弾よけって……?」
「それがね、遥琉と地竜と話しが弾んでいて、しばらく来れないかも」
「久し振りに会えたんだからしょうがない」
そのとき、ふぇ~~ん、ふぇ~ん。
陽葵が急に泣き出した。
「眠りが浅いんだ。おっぱいが足りないのかも」
箸を置いてベットから起き上がろうとしたら、
「いいよ、僕たちが面倒みるから、ご飯食べて。入院しているときしかゆっくり出来ないよ」
心さんがキャスター付きの新生児ベットからそぉーと静かに陽葵を抱き上げてくれた。
「先生もびっくりのスピード出産だったんでしょう?」
「うん。病院に付いたらすぐに産まれたんだ。痛みさえ感じる間もなく。本当にあっという間で驚いた。でも、このお腹にはもういない……そう思ったらちょっとだけ寂しいんだけど……」
「2、3年したらまた赤ちゃんが欲しくなるよ。ひまちゃんに妹が欲しいっておねだりされるんじゃないかな?」
「9人もいるんだよ。これ以上は……」
頬を染めながら横に振った。
ともだちにシェアしよう!