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番外編 みんなが待ち望んだ新しい命の誕生

「よ、未知」 ガラッと勢いよくドアが開いて。その音に驚いたのか陽葵が小さな身体を震わせまた泣き出した。 「ちょっと!やっと泣き止んだところだったんだよ!」 心さんに怒られ、 「龍!」 光希さんにも怒られ、 「すみません」 しゅんとして項垂れたのは龍成さんだった。姉さん女房の光希さんに今だに頭が上がらないみたいだけど、遼成さんに負けないくらいの愛妻家だ。 そうか最強の弾よけって彼のことだったんだ。 「ねぇねぇ聞いて。光希がね若い衆に挨拶しただけで焼きもちを妬くのはしょっちゅうなんだけど、それだけじゃなくて、雀や野良ちゃんの猫に話し掛けるだけでも、焼きもち妬いて大変なんだよ」 「一番の被害者は縣一家の会長が飼ってるメダカたちだ。光希が餌をあげたり水を交換しているんだけど、俺の光希に指一本でも触れてみろ。素揚げにして食っちまうぞってかわいそうに。脅されて」 心さんと七海さんに耳の痛い事を暴露され、龍成さんは苦虫を噛み潰したような顔になっていた。 あ、そうだ。縣一家といえば…… 「笹原さん達は?」 「俺や龍がいなくなると子守り担当がいなくなるから、そうなると笹原一人で双子の世話は大変だからって、裕貴さんが龍一家で面倒をみるって言ってくれて」 「じゃぁ……」 「龍一家で匿ってもらっているから大丈夫」 「良かった」 裕貴さんも愛妻家で子煩悩だから。彼のところにいるなら心配はいらない。ほっとして胸を撫で下ろした。

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