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番外編 悲しみの連鎖

「彼は縣一家の組長だ」 蜂谷さんに続き、眠気眼を擦りながらトレンチコートを着た男性が診察室から出てきた。 「縣一家の組長が福島にいる訳がないだろう。馬鹿も休み休み言え」 「さっきの話しを聞いてないかったのか?」 「あ?」 男性が胸ポケットから白い紙を取り出すと男に見せた。 「藁谷、特定商法取引法違反ならび殺人容疑で逮捕状が出ているぞ。いい加減諦めろ」 血走る鋭い眼光で男が男性を睨み付けた。 「俺を逮捕したところでなにも変わらないぞ」 嘲笑うようにゲラゲラと声を出して笑い出した。 「遼成さん、彼は?」 「根岸の倅がいたアルバの実質経営者だった男だ。楮山組を後ろ楯に悪さばかりしている。未知、あとはサツに任せて、帰るぞ」 泣きじゃくる陽葵をあやしながら、遼成さんと一緒に外に出ると白いファミリーカーが横付けされてあった。 「もう1人ネズミが院内に潜んでいる」 「もしかして悠仁さん?」 「さぁ、どうかな」 遼成さんは言葉を濁し明言を避けた。

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