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番外編 悲しみの連鎖

チカちゃんの彼氏の国井さんが来るということはつまり、ドラッグ絡みということだ。 あれ?なんで駅に向かっているのかな? 辺りをキョロキョロと見回していたら、 「度会さんのところはひっきりなしに人が出入りしているから、落ち着いて身体を休めない。自宅に連れていくように遥琉に頼まれたんだ」 「橘や紗智たちがいるんだ。子どもたちの世話は任せて、陽葵だけの世話に専念すること。今は大丈夫でもあとから体に来るから」 「ありがとう光希さん七海さん」 「それは僕たちの台詞だよ」 ふたりとそんな会話をしているうちに組事務所があるビルの前に車が到着した。 若い衆が総出で出迎えてくれた。そしてーー、 「伊澤さん、亜優さん」 エントランスに入るとふたりが出迎えてくれた。亜優さんは笑顔で駆け寄ってくれたけれど、伊澤さんの表情は非常に厳しいものだった。 「アルバは年寄りを食い物にしてきた。中には多額の借金を背負わされた者もいる。恨みを買うのも当然だ。俺はこの命に変えても根岸と、彼が大事にしている未知と亜優と奏音を守る。だから安心しろ」 「奏音くんのためにも根岸さんと悠仁さんには仲直りして欲しかった」 「今からでも遅くない。はじめまして、陽葵ちゃん」 あどけない陽葵の笑顔に、固かった伊澤さんの表情が緩みっぱなしになった。 新しい家族と対面を果たした亜優さん。おっかなびっくり陽葵のお手手を握ると、ぎゅっ、と握り返してもらったみたいで、 她是世界上最可爱的。 (ター シー シー ジェ シャン ズイ クァ アイ デァ) 何度も口にしながら感動していた。 ※意味は彼女は世界で一番可愛い。 ※アルバ(ALBA)は悠仁さんがいた会社で、 睡眠商法をしていて、実質経営者の男らに逮捕状が出ています

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