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番外編 悲しみの連鎖
「ママおかえり!」
「いちたくんママおかえりなさい!」
エレベーターに乗り込み組事務所がある階まで移動した。ドアが開くと、遥香と晴くんと未来くんが笑顔で出迎えてくれた。
「あれ?一太と奏音くんは?」
「おにいちゃんはかなたくんといっしょにがっこうだよ」
「あれ?もしかして今日から学校?」
「うん」
「そうだったんだ。ごめんね、ママすっかり忘れてた」
「ママはひまちゃんのおせわがおしごとだもの。ハルちゃんわかってるから、だいじょうぶだよ」
ニコニコと笑みながら、陽葵の頬っぺを優しく撫で撫でしてくれた。
「あれ?幼稚園休んだの?」
「皆さん明日まで午前中保育です。週明け月曜日から2時お帰りです」
橘さんが子どもたちの背後から現れた。
「ここちゃんとたいくんは那和さんとお留守しています。おうちに帰ってお昼ご飯にしましょうね」
「はぁ~い」
元気に返事をしてみんな上の階に移動をはじめた。
「橘さん、遥琉さんと紗智さん大丈夫かな?根岸さんと遼成さん大丈夫かな?」
「案ずるに及びません。皆さん、こちらに向かっていますよ」
「本当に?」
「私が嘘をついたことがありますか?」
今の今まで一度もない。顔を横に振った。
「未知さんも疲れたでしょう。ご飯にしましょう」
橘さんに促され、陽葵と一緒に久し振りの我が家へと向かった。
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