1493 / 3282

番外編 悲しみの連鎖

チャイムが鳴り、 「はぁ~い、どちらさま?」 踏み台によじ登りインターフォンの画面を見上げる遥香。 『パパだよ』 「あ、パパだ!おかえり!あれ~?」 不思議そうに首を傾げた。 「そのひとだぁ~れ?なんでママのおようふくをきてるの?」 『これには色々と事情があってな』 「パパ、めっだよ!」 『は?ハルちゃん待って、ご…ーー』 頬っぺたをこれでもかと膨らませると、ぶちっと通話を切ってしまった。 「ままたん、たいへん。パパ、しらないおんなのひとつれてきた。ママのおようふくをきてるの。めっして」 キッチンで食器を洗っていた橘さんのところに駆けていった。 「困ったパパですね」 「ママがかわいそう」 真剣な顔で怒る遥香に、橘さんは吹き出しそうになっていた。 「さっちゃん、可愛いね」 那和さんが心望と太惺を交互に抱っこし、インターフォンの画面を見せてあげた。 「パ~パ~!」 大好きなパパを見付けたふたり。キラキラと目を輝かせて、手足をバタつかせた。 「あれ?さっちゃん?」 「うん、そうだよ」 「ハルちゃん、わかんなかった」 「ごめんね、驚かせて」 紗智さんが目深く被っていた帽子を脱ぎ、抱っこしていたお人形を遥香の腕に渡した。 「ありがとうハルちゃん。助かったよ」 頭を撫でてもらい恥ずかしそうにもじもじしながら照れていた。

ともだちにシェアしよう!