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番外編 悲しみの連鎖

「まぁ、そう癇癪を起こすな」 彼が七海さんを宥めていたら、 「ねぇママ、らぶほってなぁ~に?」 「ハルちゃんにもおしえて」 天使のような笑顔で目をキラキラと耀かせふたりにじーっと見つめられた。 「えっと……その……」 返答に困っていたら、奏音くんが、 「女の人と仲よくして、ぼくの弟をつくるんだって。お父さんそういって色んな女の人とよく行ってたよ。ぼく、お父さんがかえってくるまでくるまの中でずっとかえりをまってたこといっぱいある。お父さんはおこるとすぐかなたのこといっぱいたたくんだ。おなかすいても、さみしくても、がまんした。かなた、弟なんていらなかった。おこってもたたかない、やさしいお父さんとお母さんがほしかった」 歯を食いしばり目蓋を腫らすほどに涙を浮かべ、安心感を与えてくれる柚原さんと光希さんの手をぎゅっと握り締めた。 「誰にも言えなくて苦しくて辛かったよね。奏音くんありがとう話してくれて」 柚原さんが声を掛ける前に光希さんが奏音くんをぎゅっと抱き締めた。 「かなた、いらない子なの?」 「いらない子どもはひとりもいないよ」 肩を震わせ泣きじゃくる奏音くんの背中を、もう大丈夫だよ。光希さんが優しく撫でてあやした。 「鞠家さん」 「げ」 そこへ現れたのは橘さん。にこにこと笑ってはいたものの目は完全に座っていた。

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