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番外編 悲しみの連鎖

「俺だったら喜んで優璃に怒られるのにな。構ってもらえるんだ。ありがたく思えっての。な、たいくん、ひまちゃん」 3時間ごとに目が覚める陽葵のオムツを交換しおっぱいをあげていたから、太惺と心望まで起きてしまい、一人でてんやわんやしていたら、泣き声に気付いた柚原さんが飛んできてくれた。 さすが寝かし付けのプロ。一人はおんぶし、もう一人は抱っこしてあやしているうちに、ふたりともあっという間に眠ってしまった。 柚原さんに聞いたら、彼も橘さんも鞠家さんもまだ帰ってこないみたいだった。 「証拠がないのに犯人だと決めつけるのもあれだが、根岸の倅を刺したのは間違いなく楮山組の構成員だろう。根岸の倅が移送されることは、ごく一部の人間しか知らないはずだ。それがなぜか漏れた。蜂谷が元同僚から聞き出した」 「悠仁さんは?」 「意識はあるとだけ連絡がきた。それ以外は何も分からないんだ。ごめんな、未知」 「大丈夫です。悠仁さんが生きているなら良かった」 陽葵をそぉーと寝せて、心望を抱っこしようと両手を伸ばしたら、柚原さんの袖をぎゅっ、と強く握り締め離そうとしなかった。 「モテる男は辛いね。じゃあ、あと少しだけだよ。ままたんに焼きもちを妬かれると大変だから。未知、少しでも眠った方がいい。ふたりは俺に任せろ」 そう言うと太惺と心望を連れて寝室をあとにした。

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