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番外編 悠仁さんが犯した罪の重さ
『鞠家から話しは聞いた』
ソタイに転属になる前、捜査一課にいた国井さんなら何か知ってるかも知れない。鞠家さんにアドバイスをされた彼。
翌朝、電話をしようとしたら、国井さんの方から電話が掛かってきた。
『神隠しにあったように寝ていた妻が忽然と消えた。夫の110番通報で事件が明るみになった。息子の実父である元交際相手にしつこく付きまとわれていたという夫の証言から、その男に連れ去られたとみて捜査したが手がかりすら見付からなかった。懸命な捜査にも関わらずそのまま事件は迷宮入りした。7年が経過し夫は妻の死亡届を提出し受理されたと風の便りで聞いた。つい先日、関東地方のある地方都市の土砂崩れの現場から白骨化した人の骨と思われるものが複数見付かった。もしかしたら妻と元交際相手かも知れない』
「そうか」
『卯月、その地方都市は楮山組の縄張りだ。娘が生まれたばかりだろう?これ以上は関わらない方がいい。俺が知っている情報はすべてチカや千里に伝えるから、お前は大人しくしていろ、いいな』
「あぁ、分かった。面倒を掛けるが宜しく頼む」
持つべきものは何でも話せる気の合う仲間たちと信用できるデカ。彼の口癖をふと思い出した。
国井さんからの電話を切ったあと、光希さんが姿を現した。
「子供たちはまだ寝てる。遥琉、遼成さんから連絡があった。公開されたその遺体の似顔絵写真を見たお義父さんが、昔付き合っていた女性に目と口の辺りがよく似てるって。これから遼成さんと一緒に警察に向かうって」
「そうか」
「奏音くんには俺から話す」
「いや、俺から話す」
「縣家で引き取ると言ったからには、奏音くんは身内も同然。ありがとう遥琉」
光希さんは強い眼差しで彼をみつめた。
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