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番外編 悠仁さんが犯した罪の重さ
カタン、ドアが少しだけ開いて奏音くんが顔を出した。
「目が開いたらね、ぱぱたんもみつきさんもいなの。知らない?」
赤く腫れた目蓋を手の甲でごしごしと拭った。
「あ、いた。かなた、しんぱいしたんだよ」
光希さんの姿を見付けるなりにこにこの笑顔で駆け寄った。
「ぱぱたんはお仕事だよ。ごめんね1人にして。もう大丈夫だよ。だから、そんなに擦らないの。余計腫れて痛くなるよ」
「だって……」
「それじゃあ、ままたんを探しに行こうか?」
「うん、行く」
奏音くんの方から光希さんの手をぎゅっと握り締めた。
「朝ごはん何かな?おいしそうなにおいするね」
「そうだね」
「かなた、ままたんのご飯大好き。みつきさん、いそいで」
「そんなに急がなくても橘はいなくならないよ」
困惑する光希さんをぐいぐいと引っ張っていった。
それから数時間後。
事務所に根岸さんと伊澤さんがみえられましたと若い衆が彼を呼びにきた。
悠仁さんと面会した帰りに寄ってくれたみたいだった。殺しても飽き足りない、暴悪な憎悪を根岸さんに向け、伊澤さんや警察官の制止を振り切り、胸倉に掴み掛かり拳を振り上げた。
根岸さんは余計なことするんじゃねぇ。ドスのきいた低い声で伊澤さんらを止めると、一切抵抗せず、悠仁さんに何度も殴られ続けた。見るに耐えず伊澤さんが悠仁さんの手首を掴み力ずくで引き離した。
「父親が誰と付き合おうが関係ねぇだろう。自分のことを差し置いて、年長の者を侮辱するなど罰当たりなヤツだ」
橘さんに氷嚢を多めに準備してくれと頼み、急いで組事務所に向かった。
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