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番外編 悠仁さんが犯した罪の重さ

「いちたくんのママにも見せてあげる。かなたのママだよ」 お宮参りの時の写真かな?着物姿の女性が笑顔で赤ちゃんを抱っこしていた。傍らに立つのは悠仁さんかな?写真をストラップ付きのキーホルダーにしたものを見せてくれた。 「優しそうで綺麗な女性だね」 「ママがもしもね、かなたに会いにきたら、すぐママだってわかるでしょう。だから、ずっとだいじに持ってたんだ。かなた、ママに会いたかった。ぎゅっ、ってしてもらいたかった。いっぱいあそんでもらいたかった」 キーホルダーを握り締め、奏音くんが鼻をずずっと啜り、手の甲で目を擦った。 みんなに心配を掛けまいと、ずっと泣くのを我慢していた奏音くん。 「泣きたいときは泣いてもいいんだよ」 陽葵を布団の上に静かに寝かせ、震える小さな肩を抱き締めてあげると、 「ママ…ママ…」 声を上げしゃくりあげながら泣き出した。 奏音くんの泣き声に驚いたのか一太が様子を見に来てくれた。 「みつきさん、たいへん」 遥香が光希さんを連れてきてくれた。 「ひまちゃんないてる」 「抱っこしてもいいけど、余計に泣かれるような……大丈夫かな」 不安を口にしながらも、陽葵を抱き上げあやしてくれた。 「未知、陽葵と子供たちは、紗智と那和と七海のところに連れていく。奏音くんを頼む」 光希さんが気を遣ってくれて、奏音くんと二人きりにしてくれた。 僕の服にしがみつき、ひとしきり泣いたあと、そのまま眠ってしまった。

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