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番外編 悠仁さんが犯した罪の重さ

中国に帰国する前に地竜さんが寄ってくれた。 「次はいつ会えるかな」 すやすやとねんねする陽葵と太惺と心望の顔を寂しげな眼差しでそぉーと覗き込んだ。 「たいくんとここちゃんは今よりもっとあんよが上手くなって、走るようになっているんだろうな。ひまちゃんは首が座り、お座りや、寝返りが出来るようになっているんだろうな。こどもの成長はあっという間だ。側で見守ることが出来ないのが残念でならない」 「地竜さん、日本で暮らすことは出来ないんですか?」 「仲間のほとんどが地方の貧しい農村の出身だ。都市部に出稼ぎに来たり、騙されて売られてきたり、みな、やむにやまれぬ事情で犯罪に手を染めた。苦楽を共にしてきた仲間を見捨てる訳にはいかない。それに子供たちも首を長くして待っているから。ごめんな、未知」 右手を両手で掬い上げられて。 手の甲にちゅっと軽く口付けられた。 「ディ、ノンさん‼」 慌てて手を引っ込めようとしたら、ぎゅっ、と強く抱き締められた。 「愛してるよ。ずっと……未来永劫、きみは俺の妻だ」 首筋に熱い息がかかり、痕が残るくらい強く吸われ、 「痛っ……」 軽く歯を立てられた。 「さぁ~~てと、遥琉が暴走する前に退散するか」 地竜さんはすこぶる上機嫌で帰っていった。 当然ながら面白くないのは彼の方で…… また玄関先で口喧嘩はじめたのかな? なんだかんだいいながら仲がいいね、パパたち。子供たちに静かに話し掛けた。

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