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番外編 悠仁さんが犯した罪の重さ

「遥~~琉」 ドアががらっと開いて橘さんが入ってきた。 「なんで怒ってるんだよ。俺、まだ何もしていない」 「これからするんでしょう。下心見え見えです。鼻の下が伸びてますよ」 「う、五月蠅いな」 痛い所をつかれ反論すら出来ない彼。 橘さんにはどう頑張っても敵わないんだから、ここは素直に謝った方がいいよ。ね、遥琉さん。 「未知さんといちゃついていても一向に構いませんが、緊急事態です」 「緊急事態って……どうせ先々代が刺されたとかだろう?」 「なんだ分かっていたんですか。おふたりを邪魔する必要なかったですね」 「ちょっと待て。冗談じゃなくて?」 「えぇ、さっき千里から連絡がありました」 橘さんの目付きは真剣そのものだった。 「そうか……」 彼が危惧していたことが現実になってしまった。 「遥琉さん」 「大丈夫だ。心配するな」 不安を一掃するかのようににっこりと微笑んでくれた。 「分かったぞ橘。宮間には妹がいて、彼女が先々代を刺したとかだろう?」 「残念ですが宮間さんには弟しかいません。現在消息不明です」 笹原さんは戸籍上彼の弟になっている。 先々代が、どこの馬の骨とも分からぬ輩。儂の倅ではないと発言していたみたいで、それを耳にしたお義父さんが笹原の弟なら、儂の息子も同然と卯月家で遺体を引き取る事に決めた。そんなことを彼が話してくれた。

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