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番外編 悠仁さんが犯した罪の重さ
「たく、泣かせるんじゃねぇ。年のせいか、ただでさえ涙もろくなっているのに」
僕だけじゃなく根岸さんまで貰い泣きしていた。
「かなたくん、いちたとまってよう。すぐにみつきさんママむかえにきてくれるよ。りょうさんと、りゅうさんもむかえにきてくれるよ」
一太が奏音くんに笑顔で歩み寄った。
「みつきさんママ?」
「うん。みつきさんはかなたくんのママでしょう?あれちがうの?」
一太に言われ、奏音くんはちらっと光希さんの顔を見上げたのち、
「みつきさんは、かなたのママだよ」
満面の笑顔で大きく頷いた。
その瞬間、光希さんが両手で顔を覆った。
「心がゆうくんに、ここちゃんママって呼ばれているの羨ましくて……まさかそう呼んでくれるとは思わなかったから……男泣きなんてみっともないから見ないで欲しい」
「奏音は誰が一番自分のことを大事にしてくれるかちゃんと分かっているんだよ。奏音の母親代わりになれるのは光希。お前しかいない。遼成も龍成も見た目も中身もおっかねぇが、むやみに人様をぶったりしねぇ。お前たちになら安心して大事な孫を託せる」
根岸さんがちらちらとキッチンを見ながら光希さんの肩を擦った。
橘、七海、見てないで助けてくれ。うちのカミさんおっかねぇんだ。目がそう言っている。
その伊澤さんは……というと、廊下で壁に寄り掛かり、ことの成り行きを黙って見守っていた。
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