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番外編 悠仁さんが犯した罪の重さ
「人が真面目なことを言ってる時に笑うな」
「だってさぁ」
濡れた髪をタオルで拭きながら、バスローブ姿の那和さんが姿を見せた。
見慣れているとはいえ恥ずかしいのか奏音くんは椅子からぴょんと飛び下りると、一太がいる部屋に走っていってしまった。
「年頃の男の子には刺激強すぎないのかな⁉」
「何が?」
「だって、縣家って一妻多夫だよ。遼も、龍もところ構わず光希にべったり。真っ昼間からいちゃついてるんだよ。大丈夫?」
「そこはまぁ……確かに子供には刺激が強すぎるかもな」
「でしょう」
那和さんが冷蔵庫を開け、缶ビールを取り出した。
「縣一家総出で組長の補佐役に新しく就任することになった根岸らを出迎えてくれたらしい。俺の親父と遼禅さんに早速掴まって、煙草と酒を勧められたらしいが、藍子さんの遺骨を納骨するまでは煙草も酒も絶つことにした、そう言って断ったそうだ」
「藍子さんって?」
「根岸藍子。奏音の母親だ。悠仁と結婚する前の旧姓は井上。橘と一緒に所轄の警察署に安置されている藍子の遺骨を引き取りに向かう、さっき電話があった」
「その町は楮山組の縄張りだって聞いたよ。大丈夫なの?」
「遼成が腕の立つ若い衆を護衛に付けてくれた。それに龍成も一緒だから大丈夫だ」
「ねぇ遥琉さん、宮間さんは?」
「昨日のうちに親父と笹原が遺骨を引き取りに行った。まさかこんな形で実の弟とはじめて対面することになるとは、笹原もやりきれないだろうよ。骨じゃなく、生きたお前と会いたかった。夜通し他愛もないことを語り合いさしで呑みたかった。笹原は悔し涙を流していたそうだ」
「宮間さんの弟さん、まだ見付からないの?」
「あぁ。お、起きたかふたりとも」
太惺と心望がおめめをぱっちりと開けて、じぃーと彼を見つめていた。
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