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番外編 恋の予感?

『生活保護に関わる部署にいたらしい』 光希さんは落ち着いた口調で話し始めた。 玲士は生活保護を何度申請しても認められず老々介護の末、生活苦から妻と心中を図ったある七十代の男性の担当をしていた。その男性が、同じアパートの部屋に住む女を名指しし、なぜ30代と若いのに、まだまだ働けるのに、なぜ生活保護を受けられるのか?シングルマザーだからか。あんたらは知ってるか?女には籍は入っていなが同居している男がいる。なんで結婚しないのか?って聞いたら結婚したら生活保護が打ち切られるし手当も入らないからシングルマザーの方がいいって悪びれる様子もなく4人目となる大きなお腹を擦りながら答えた。懸命に働いてもその日暮らしの苦しい生活を送っているシングルマザーがほとんどだと思うが、一部の人間は不正受給し……まぁ、こんな感じで男性が裁判の時に涙ながらに裁判官や裁判員に生活保護制度は誰のためにあるのかと訴えて、区の福祉課には抗議の電話が殺到した。男性と妻を助けることが出来なかったこと、女性の嘘を見破ることが出来なかったこと、ふたりを担当した玲士は自分を責めた。やる気も自信も失い精神的に追い詰められ、心身のバランスを崩して休職した。 一年近く家に引きこもる弟を心配した甲崎さんが嫌がる玲士を無理やり家から連れ出し、遼成さんに引き合わせた。

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