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番外編 恋の予感?
『厚くどんよりとした曇天が一気に晴れ渡った。遼成さんはこんな自分でも必要としてくれる。玲士はすぐに区役所を辞めて、遼成さんと盃を交わし縣一家に入った。無口であまり笑わないけど真面目な男だよ。その玲士が、遼成さんの弾よけとして福島に行ってからやたらと機嫌が良くて。聞いたら、運命のひとを見付けた、彼はまさに天使だって、誰のことか分からなかったんだけど、まさか亜優だったとは』
光希さんが俺も意外だったと驚いていた。
「おにいちゃんたち、はるちゃんただいま!」
晴くんと未来くんが元気いっぱい帰ってきた。
「オヤジ、本部が大変なときにすまない」
信孝さんが深々と頭を下げた。
「頭上げろ。ナオが入院中なんだ。今はカミさんの側にいてやれ。こっちのことは心配するな」
「オヤジありがとう」
「いちいち礼はいらない。信孝、一緒に休憩しよう。早く座れ。今日のおやつは茨木さんとぱぱたん特製のイチゴソースのスフレパンケーキだ。いちごの酸っぱいのが苦手なハルちゃんが食べれるんだ晴も未来も食べれると思う。美味いぞ」
「じゃあ遠慮なくご馳走になるよ。晴、未来、パパと手を洗ってこよう」
「はぁ~~い」
信孝さんが二人を連れて洗面所に向かった。
「美味しい。柚原ますます腕を上げたな」
パンケーキを一口食べた信孝さんが驚いたように目を丸くした。
「夫として優璃が仕事に打ち込めるようにサポートしてやるのが俺の役目だ」
可愛らしいキャラクターのエプロンを着て、右手に太惺、左手に心望を抱っこして柚原さんがキッチンから姿を現した。
「殺し屋だったとは到底思えない格好だな」
「もう昔の話だ。今は、子守りと家事担当の主夫だ。たまには本部長らしいこともするが、これが俺の天職だ。後悔してない」
柚原さんの表情は晴れ晴れとしていた。
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