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番外編 かなたのまま

「かなたのママ、かなたより大人なのに、ちっちゃくなっちゃたね」 根岸さんが持ち帰った骨壺は大人用より一回り小さいサイズのものだった。 遺体はバラバラに切断されていて見付かったのは頭部と大腿骨と踵の骨の一部だけだった。 祭壇に安置すると、根岸さんの隣にちょこんと座り一緒に手を合わせた。 「ママお帰り。かなた、おりこうさんしてママの帰りずっとまってたんだよ」 泣かない。 かなた、ぜったい泣かないもん。 強がって我慢していた奏音くん。 「泣きたいときは素直に泣いていいんだ。我慢するな」 根岸さんが髪をぽんぽんと撫でると、正座したまま奏音くんは声を震わせ泣き出した。 「遼成さんが奏音くんが持っていたキーホルダーの写真を使いママの遺影を作ってくれたんです」 満開の桜をバックに笑顔で写る女性。笑ったときの顔が奏音くんそっくりで、笑窪がキュートでなんとも可愛らしい女性だった。 「たった28年の人生だった。息子の成長を楽しみにしていただろうに。やりたいことがたくさんあっただろうに。そう思うとやるせなくなる。奏音、ママの分も精一杯生きろ。遼成や龍成や光希や遼禅、新しい家族と共にな」 「じぃじは?」 「もちろんじぃじと伊澤も奏音の側にいる」 「ほんと?ずっとそばにいる?いなくならない?かなた、ひとりぼっちはもうイヤだ。さみしいのもイヤだ」 「当たり前だ。約束する。なんならじぃじとも約束げんまんするか?」 「うん」 こくりと頷くと遺影の写真の前で指切りげんまんをはじめた。

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