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番外編 信孝さんの妹さん
太惺と心望は橘さんにべったり。彼が「ままたん疲れているからパパっておいで」と両手を差し出すと、ふたりしてぎゅっと服にしがみつきぶんぶんと首を横に振って離れようとはしなかった。
「一日会わなかっただけで、可愛いものですね。誰かさんとは大違いです」
「どうせ俺のことだろう」
「あなたとは言ってませんよ」
橘さんを見付けた遥香。「ままたんおかえりなさい」ニコニコしながら駆け寄ってきた。
「信孝さんちょうど良かったです。遼禅さんから伝言を預かってきました。縣の家を出るそうです。お付き合いされている女性と再婚しその方の籍に入るそうです。奏音くんが縣の家に一日でも早く馴染み、子どもらしくのびのびと暮らすことを一番に考えたそうです」
「今までなら飽きたらポイ捨てだったのに。親父の人生だ。俺が口を挟むことではないが……」
心配事でもあるのか信孝さんがはぁ~~と深くため息をついた。
「信孝さんには龍成の他に妹さんがいて。柚さんという名前なんですが、まぁ、昔色々とありまして」
「血は繋がってはいないとはいえ、今の今まで一切謝罪なしだ。再婚する前に柚に謝るのが先だ。何を考えているんだか」
「目の前にぶら下がっている幸せしか眼中にないんですよ。本部が分裂というこの危機に浮かれている場合じゃないのに。遼禅さんは先々代とは違う。少しは分かってくれると思ったんですが残念です」
橘さんが肩を落とした。
「鷲崎は俺と一緒になると決めたその日。直矢と遥に会いに行って玄関で土下座してふたりに謝ったよ。すまなかった。全部俺が悪かったって」
七海さんが姿を見せた。
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