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番外編 死神

「お喋りはそのくらいで止めましょうか。ひまちゃんや子どもたちが寝ている時しか休めないんですよ。聞きたいことが山のようにあると思いますが、順を追って少しずつお話ししますから。さぁ未知さん横になってください」 布団を捲ると敷布をぽんぽんと叩いた。 「じゃあ俺も」 彼がごろんと横になろうとしたら、 「誰が寝ていいと言いましたか?」 橘さんに首根っこをむんずと掴まれじろりと睨まれた。 「折り入って話しがあると言いましたよね?まさかこの期に及んで聞いていないとシラを切る気ですか?」 「おっかねぇ顔すんな。ちゃんと聞いてるよ。少しくらい未知に甘えてもいいだろう」 「は?いつも甘えてべたべたとくっついて、くっつき虫のようにどこに行くのも付いていく癖に。何を今さら。未知さん、遥琉を借りますね」 橘さんがほぼ強引に彼を連れていってしまった。唖然としていたら、太惺が目を擦りながらクズリはじめ、心望も毛布の中でもぞもぞと動き始めた。 ひまちゃんねんねしててね。陽葵を起こさないようにそぉーと寝せると今度は陽葵までがぐすりはじめた。 もうどうしよう。三人いっぺんにあやすのは無理だよ。困り果てていたら、ドアがすっーと開いて、 「七海さん、紗智さん」 「そろそろ夜泣きがはじまる頃かなって」 「夜行性はきっとパパとななちゃんに似たんだね」 強力な助っ人が助けに来てくれた。 「未知、地竜は絶対に生きてる」 「紗智さん」 「この子たちを置いて先に逝くような、そんな薄情な男じゃない」 「七海さん。ふたりともありがとう」 励まされ、うんと大きく頷き陽葵を抱き上げた。

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