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番外編埋もれ木

「柚さん、鳥飼さんが探してましたよ」 穏やかな口調だったけど橘さんの目は笑ってはいなかった。 「鳥飼の夫の許可がなかなか下りなくて待ちぼうけをくらっていたの」 「△○×▲◇!」 「ちょっと!」 那和さんと亜優さんが怒り心頭の様子で柚さんを睨み付け今にも飛び掛かりそうになり、 「僕も頭に来てるけど駄目」 「ふたりとも我慢するんだ」 紗智さんと七海さんが必死で止めた。 「中国……人?」 「そうですけど、何か不都合でも?」 「別に」 くすっと鼻先で笑うと、 「行こうか幸」 「えぇ!みゆちゃん、もっとあかちゃんみたいよ」 「幸!いい加減にしなさい!」 駄々を捏ねる幸ちゃんを叱ると手を強く引っ張り連れていってしまった。 「何も未知さんに八つ当たりしなくてもいいのに。困ったものですね。彼女が言ったことは聞き流して忘れた方がいいですよ」 「でも……」 「モテる男を夫に持つと他人の幸せすら妬ましく思うんでしょうね。ひまちゃん、お目目が覚めましたよ」 橘さんに言われて陽葵を見るとニコッと笑ってくれた。

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