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番外編 埋もれ木

陽葵におっぱいをあげていたらドタドタと賑やかな足音が聞こえてきた。柚原さん帰ってきたのかも知れない。陽葵ごめんね。ちょと待ってて。慌てて服を直そうとしたら、 「授乳中だろ?部屋には入らないから安心しろ」 柚原さんじゃなく、信孝さんの声が聞こえてきた。よほど急いで来たみたいで息遣いが荒かった。 「柚が姐さんに失礼な態度を取った。遼成からさっき知らされて、そりゃあもう寿命が縮むかと思った。橘は柚が反省しているから大事(おおごと)にするなとみんなに言ってくれたみたいだが、誰かが遼成に連絡したんだろう。それでえらい騒ぎになっている。姐さん、すまなかった」 「柚さんの言ってることは正しい。僕より橘さんの方がなんでも出来るもの。僕なんかただいるだけだし。何も出来ない。橘さんには聞き流して忘れろって言われたけど……」 子育ても家事も橘さんや柚原さんがいなければ、ろくに出来ない自分が不甲斐なくて。悔しくて、涙が零れた。 鼻をずずっと啜りながら、陽葵におっぱいをあげていたら、 「ちょっとマーを泣かせないで」 紗智さんの怒った声が聞こえてきた。 「いや、決してそんなつもりはなかったんだ」 「ナオにお尻ペンペン頼むよ」 「いや、待て。それだけは勘弁してくれ」 那和さんも僕のために怒ってくれてる。亜優さんもいるのかな?マー泣いてる場合じゃないよね。手の甲で涙をごしごしと拭った。

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