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番外編 埋もれ木

どんだけ駄々してても、ギャン泣きしてても橘さんに抱っこしてもらうと、ぴたりと大人しくなり、泣き止むから不思議だ。 「みゆちゃんね、こわかった」 鼻を啜りながら橘さんの服にぎゅっとしがみつく幸ちゃん。まだ体が震えていた。 「ままたんが来たからにはもう大丈夫です。怖くないですよ。幸ちゃん、風邪をひいたら大変です。お着替えしましょうね」 「はぁ~い」 愛らしい声で返事をすると、 「みゆちゃんね、おなかすいた」 手をお腹にあてて空腹を訴えた。 「もう少しで一太くんと奏音くんとハルちゃんが小学校と幼稚園から帰ってきます。幸ちゃんもう少しだけ我慢出来ますか?」 「みゆちゃんおりこうさんだから、まてるよ」 「偉いですね」 うんと褒められ頭を撫で撫でしてもらうと、幸ちゃんはニコニコの笑顔になった。 橘さんが幸ちゃんを連れていってくれて。 彼が服をぽんぽんと無造作に脱ぎ出したから慌てた。 「遥琉さん、なんで下まで脱いでるの?」 「なんでって、幸を抱っこしていたら汗をかいたからだ」 「下は関係ないでしょう」 上は幸ちゃんがお漏らししたから着替えないと駄目だけど。 「じゃあ聞くけど未知はなんで顔が真っ赤なんだ?」 「えっと、それはその……」 答えられずにいたら悪戯っぽくくすっと笑われてしまった。 逞しい身体に今さらながらに頬が熱くなる。 しなやかに筋肉のついた身体は綺麗に均整が取れていて、久し振りに見る彼の裸に思わず見とれてしまうと、目が合った彼に微笑まれた。

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