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番外編 埋もれ木

信孝さんと蜂谷さんが楮山組の若い連中を尾行しすぐにアジトを突き止めた。 ダーツバーで騒いでいた威勢だけはいい若いあんちゃん達も関与していると聞いた柚原さん。首を締め上げておけば良かったと悔しがっていた。 楮山が昔と同じことを柚にするかも知れない。事態は深刻だ。一分一秒を争う。強行突破し柚さんを救出するしか手立てはなかった。 危険な任務にも関わらず若い衆たちは躊躇することなく我先にと手を挙げた。お祖父ちゃんと根岸さんと伊澤さん、それに遼成さんが急遽助っ人に寄越してくれた男らとアジトに乗り込むことになった。 突然根岸さんがうちを訪ねてきた。 今生の別れになるかも知れないからな。最後に孫たちの顔がどうしても見たかったんだ。根岸さんは忍び足でこども達がいる部屋に向かった。 「縣一家組長補佐としての初仕事が柚の救出とはな。これも何かの縁かも知れないな。奏音、じいちゃん行ってくるな。じいちゃんにもし万が一のことがあっても父親や楮山に親権がいかねぇようにちゃんと遺言書を橘に渡してあるから安心しろ」 奏音くんの寝顔を覗き込むと頭を優しく撫でてくれた。 隣で眠っている一太に体の向きを変えると、 「一太、パパとママのいうことをちゃんと聞くんだぞ。大きいあんちゃん達と仲良くな。小さな妹弟たちを守んだぞ」 そう言って頭を撫でてくれた。

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