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番外編 埋もれ木
「命に代えても柚を助け出して、こども達のもとに連れ帰ってくる。亜優、あんちゃんや弟たちを頼むな。だから泣くな」
行かないでと涙ながらに訴え、何としてでも引き留めようとした亜優さん。根岸さんは笑顔で髪をくしゃくしゃと撫でると、あとのことは頼む。彼や橘さんに頭を下げて後ろ髪を引かれる想いで出掛けていった。
心配でほとんど一睡も出来ないうちに朝を迎えてしまった。
「寝ないと体がもたないぞ」
彼がごろんと隣に寝転がってきた。
「遥琉さん、みんなは?」
これから突入する。お祖父ちゃんから連絡があったのは深夜一時過ぎのことだった。あれから三時間が経過するのにお祖父ちゃんや根岸さんからは一切連絡がない。
「連絡がないってことは無事だってことだ。だから心配するな」
ニコッと笑んで顔を覗き込まれた。
「心配するなって言われても……」
彼の服をぎゅっと掴んだ。
「噂をしていれば、そのうち電話を掛けてくる」
顔が近付いてきたと思ったら、額に柔らかなキスをされ、今日もぴょんと跳ねてしまっている髪を、彼の大きな手が優しく撫でてくれた。
「頬、真っ赤で可愛いな」
「だって遥琉さんが」
「俺が何かしたか」
くすっとからかうように笑われた。
その直接。
「いいなぁ。一太くんのパパとママはなかがよくて。うらやましいな」
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