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番外編 埋もれ木

「めぐみちゃんはパパとママが大好きなんだね」 「うん。でも一太くんのパパには負ける」 「え?どうして?」 「だって、一太くんのパパ、えっと……」 困ったようにチラ見された。 「名前は未知だよ」 「うん。一太くんのパパ、みちさんのことがだい、大好きだって、みんなに言ってるから。じまんのつまだって。かわいくて、あいらしくて、いとおしくてしかたないんだって。遼おじちゃんも言ってたよ。ねんがらねんじゅう、ラブラブのバカップルふうふだって」 「遼成さんがそんなことを……」 寝耳に水だった。 「いみわかんないけど」 「いまは、分からなくていいよ。そのうち分かるから」 遥琉さん、遼成さん、子どもは純粋なんだから変なこと教えないで欲しいんだけど。冷や汗が出てきた。 遼成には参ったな。でも、間違ってはいないから怒るにも怒れないしな。一人言をぶつぶつ口にする彼の声が聞こえてきた。 「年もうんと離れているし、立場も全然違うし、育った環境も違う。それでも俺は未知が好きで好きで、大好きで一生添い遂げる覚悟を決めプロポーズしたんだ。めぐみのパパとママだっておんなじだ。めぐみのパパはママのこともめぐみたちのことも大好きなんだ。でも意外とシャイだからな。恥ずかしくて面と向かって言えないだけだ。でもどっかでボタンの掛け違いを直さねぇとな。お、陽葵起きたか。なんでそんなに下唇を伸ばすんだよ。パパ泣くぞ」 めぐみちゃんがぷぷっと噴き出した。 「一太くんパパおもしろいね。顔はこわいけど」 「俺よりも遼成や鷲崎の方がおっかねぇぞ。なぁ陽葵。パパ優しいよな」 笑いのツボに入ったのかな?めぐみちゃんがお腹を抱え笑い出した。
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