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番外編 埋もれ木
「朝から随分と賑やかですね」
橘さんが様子を見に来てくれた。
「あぁ~~!ちょっ~~と、待った!」
彼の狼狽えた声に、
「朝っぱらから元気なひとですね」
やれやれとため息をついていた。
「遥琉、ひまちゃんの面倒は私がみます。上澤先生の診療所に至急向かってください」
「たちばなさん、もしかしてママ、見つかったの?」
めぐみちゃんが身を乗り出した。
「めぐみもつれていって。ママに会いたい」
「そう言われましてもね」
「子どもが親に会いたいって言ってるんだ。会わせてやればいいんだよ。そうだろう優璃」
優輝くんと手を繋ぎ柚原さんが姿を現した。
「いいか、ふたりとも。ママのところに連れていってやるが、遊びじゃねぇんだ。おじちゃんと柚原おじちゃんの言うことをちゃんと聞かねえとたくさんの人にまた迷惑をかけることになる。言わなくても分かるよな」
彼がふたりの前に膝を立てて座ると、同じ目の高さでふたりをじっと見つめた。
普段の彼とはまるで違う真剣な眼差しに、ふたりの背筋も自然と伸びた。
「めぐみ、やくそくする」
「ゆうきも」
「偉いぞふたりとも」
彼の表情が和らいだ。にこっと微笑むと、怖がらせて悪かったな。謝りながら頭を撫でてくれた。
「橘、未知と子どもたちを頼む。一太と奏音と遥香の送迎は鞠家と七海と紗智に頼んである。それと、未知、きみに会いたいってひとがいるんだ。あとで連れてくるから、亜優とちゃぶ台を用意して待っててくれ」
「亜優さんと、ちゃぶ台?」
「あぁ、そうだ」
意味深な笑みを浮かべながら、上澤先生の診療所に出掛けていった。
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