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番外編 埋もれ木

それから数分後。根岸さんが玲士さんを連れてきてくれた。 「じぃじ」奏音くんが脇目も振らず根岸さんに駆け寄ると足にぎゅっとしがみついた。 「心配掛けたな」 「じぃじはむてきだもん」 奏音くんが根岸さんの隣に立つ長身の男性に気付き、おっかなびっくりそぉーと見上げた。 「奏音坊っちゃん、はじめまして。玲士です」 男性が腰を九の字に曲げ、深々と頭を下げたものだから面食らい一瞬ぽか~~んとしたけど、 「ねぎしかなたです。れいじさん、よろしくおねがいします」 恥ずかしがらずに大きな声で挨拶することが出来た。 「奏音は、縣一家では組長の長男として舎弟らに周知徹底がされている。奏音さん、坊っちゃんって呼ばれることにはじめは戸惑うかも知れないが、まぁ、そのうち慣れるだろう」 「玲士は、遼成から奏音の専属弾よけと守役を任せられた。卯月家に婿入りするまでの期間限定だかな」 「もうそういう話しになっているのか?」 「将来有望な玲士を、このまま埋もれさせたら勿体ないと。菱沼組なら、ヤツの能力を遺憾なく発揮出来るって」 根岸さんが辺りをぐるりと見回した。 「まだ台所に籠っているのか?」 「恥ずかしいみたいだ」 「そういうところがまだ子どもだな」 根岸さんがクスッと笑った。 「玲士、亜優を説得してくる。その間、オヤジの家族に自己紹介しろ。みんなめんこいぞ。ややこをびびらせて泣かせたら承知しねぇからな」 「はい」 玲士さんが頭を深く下げた。

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