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番外編埋もれ木
「遼成は一言多いんだ」
「昔のこととはいえ事実ですからね。いちいち目くじらを立ててもしょうがないと思いますよ」
橘さんがお焼香セットを子どもたちの手が届かない場所にすぐに片付けてくれた。
「遥琉、確認なんですが、ちゃぶ台返し本当にやる気ですか?」
「やらねぇ方がいいか?」
「別にやりたければ止めはしませんが、後片付けが大変になるので、こちらのテーブルに飲み物を置いておきます」
太惺と心望がテーブルに掴まり立ちして飲み物をひっくり返さないように真ん中に置いた。
今度は玲士さんが小さくなり縮こまる番だった。
「なぁ玲士、遼成からだいたい話しは聞いているが、なんで手を挙げたんだ?お前くらいの器なら、縣一家でも重宝がられるはずだ」
彼の問い掛けに玲士さんはしばらくの間黙り込んでいた。
「無口であまり笑わないけど、真面目ーーそれだけのつまらない男です。なんの取り柄もない、卯月さんみたくカッコイイ訳でもないただのおっさんに、天使みたいに可愛いあの子が振り向いてくれるとはこれっぽちも思っていません。信じてもらえないかも知れませんが、え!?えっと~~その……」
ちょうどそのとき亜優さんが静かに居間に入ってきた。
玲士さんは耳まで真っ赤にし、額の汗をハンカチで必死で拭った。
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