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番外編 埋もれ木

「昇龍会の本部、直参の姐さんたちがみんな仲がいいのは菱沼組の姐さんのお陰だってオヤジから聞いてはいましたが本当だったんですね。とても素晴らしいことです。誰でも出真似出来ることじゃない。未知さん、あなたの弾よけにしてください。あなたの側で、亜優のこと、卯月さんのこと、菱沼組のこと、いろいろと学ばせてください」 玲士さんに深々と頭を下げられ、一瞬何が起きたのかすぐに理解することが出来ず、ぽか~~としてしまった。 「生憎だが、未知の弾よけは定員いっぱいだ」 チラッと彼が後ろを振り向くと、ウーさんが警戒心マックスでドアに寄りかかりこっちをじーと見つめていた。 「ここにはいないが彼の他にもう一人いる」 「ではその人が復帰するまでの間だけでも」 「おぃおぃ、縣一家に戻らないつもりか?」 なおも食い下がる玲士さんに彼もほとほと困り果てているようだった。 「たいくん、ここちゃん、 だめだよ」 そこへ思わぬ乱入者が現れた。 愛くるしい愛嬌を振り撒きながら、太惺と心望がちゃぶ台の前までハイハイで向かうと縁に掴まりよいしょっと立っちした。 「ひっくりかえすのはパパのおしごとだよ」 一太と遥香が太惺と心望をそれぞれ抱っこしようとした。 「なにも四人でひっくり返したらいいんだ。見た目よりも軽いぞ。大事な亜優お兄ちゃんを泣かせたら許さないぞって、一太と遥香の言うことなら聞くかもしれない。紗智、那和、指を挟めて怪我をしたら大変だ。手伝ってやれ」 「バーバ、俺たちも一言言ってもいい?」 「この際だ。腹にためずになんでも言え」 紗智さんと那和さんが子どもたちのところに移動した。 亜優さんは不思議そうに首を傾げ、きょとんとしていた。

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