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番外編 埋もれ木

「好きだ惚れたって言うのは簡単です。玲士さん、亜優さんだけを一生涯愛し、そして守り抜く。みんなの前で堂々と誓うことが出来るなら、私も遥琉も、未知さんもお二人が付き合うことには反対しません。玲士さん、電話が鳴ってますよ。組長代理や兄貴たちを待たせるのは失礼にあたりますよ」 「はい、すみません。亜優さん、次に会う時はその手をしっかりと握れるようなそんな男になります。だから待っててください」 玲士さんが再度頭を下げて、慌てて部屋をあとにした。 やけに家の中が静かで気になって居間を覗くと、 「おっきい子どもたちと小学生組はままたんと七海と勉強会だ。ちっちゃい子どもたちはぱぱたんとお風呂だ。立ってないでそこに座ったらどうだ」 彼に座るよう薦められ、陽葵を抱っこし長座布団の上に座った。 「なんか飲むか?」 うん。でもひまちゃんがいるからあとでもいいよ……さっきまで彼がいた台所に目を向けると、そこに姿はなかった。 あれ?慌てて首を巡らせようとしたとき、 「キョロキョロして、誰を探しているんだ?」 「わっ!」 すぐ近くから声が聞こえ、びくりとおののいた。 いつの間にか、彼が隣に腰を下ろしていた。全然気付かなかった自分に狼狽えるように真っ赤になると、 「きみを見ていると飽きないよ」 クスッと笑われ、肩を抱き寄せられた。

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